分類:偶蹄目イノシシ科
分布:本州、四国、九州
体長:100〜170cm、肩高:60〜90cm
体重:80〜190kg(最大級では200〜220kgにも達する)
| イノシシ 画像: 「うまから手帖◆旨辛エスニックで行こう!」様 |
一見すると、ユーモラスで愚鈍な印象さえあるイノシシだが、実は身軽で素早い!
時速48〜50kmもの速度で走り、1.2mもの高さを助走なしで飛び越える事もできる高い運動能力を持っており、生後1年未満の子イノシシでも70cm以上の高さを助走なしで飛び越える事のできる個体もいると報告されている。
また、猪突猛進という四字熟語でも知られるように、急な停止や方向転換は苦手なようにも思われがちだが、実際には問題なくこなす。
「イノシシは真っすぐにしか走れない・・・」という猪突猛進のイメージは、猟犬に追われたイノシシが真っすぐに走って逃げるのを見た猟師達の誤解が広まったものだとされる。
加えて、イノシシは研ぎたてのナイフのような鋭い牙を持っており、上記のような高い運動能力を持つ事や、急な停止や方向転換が決して苦手ではない事などと併せて考えれば、イノシシがブタの原種であるという事からイメージされがちな軽視は禁物であり、人にとっては危険な動物であるといえるだろう・・・。
1965年1月10日、奈良県北葛城郡新庄町(現・葛城市)。
体長135cm、体重110kgのイノシシが新庄町に現れ、畑仕事をしていた男性に重傷を負わせた。
その後、このイノシシは大和高田市、橿原市にも現れて15〜16人を襲っており、近代日本最大のイノシシ事件といわれる。
2000年12月13日、神奈川県箱根町。
藪の中から現れたイノシシが散歩中の女子中学生4人に向かって突進。
先頭を歩いていた生徒が体当たりで倒され、牙で数ヶ所を刺されて大けがを負っている。
翌日、猟友会によって発見〜射殺されたが、体長150cm、体重120kgという大型のイノシシだった。
2004年11月20日、長野県四賀村(現・松本市)。
猟をしていた男性がイノシシに襲われて死亡している。男性の太ももは20cmも裂けており、失血死とみられている。
2005年12月23日、埼玉県長瀞(ながとろ)町井戸。
女性2人が宿泊施設の中庭を掃除していたところ、突然現われたイノシシに襲われている。
女性1人が重傷、助けようとした男性と別の女性も深い傷を負っている。
イノシシの牙は犬歯が発達したものだが、下図のように口を動かす度に上下の犬歯が擦り合う形となるので、常に研ぎたてのナイフのような状態に保たれる事になる。
また、イノシシの体高60〜90cmという事から、牙の位置は人の太腿の大動脈辺りの高さとなる。
つまり、イノシシの牙で刺されるという事は鋭いナイフで血管を切られるという状態にも等しく、場合によっては失血死にもつながる・・・。
2006年10月29日、長崎県平戸市。
海岸に現れたイノシシが釣りをしていた男性2人を襲い、太腿などに深さ5cmにも達する大けがを負わせている。
2006年11月12日、神奈川県厚木市。
山中で左脚から血を流して死亡している男性が見つかっており、イノシシの牙で左脚を裂かれた事による失血死だとみられている。
2007年1月29日、高知県吾川郡仁淀川町。
山林の水路で女性が死亡しているのが見つかった。
全身に十数ヶ所もの刺されたような傷跡がある事から、イノシシに襲われたとみられている。
2007年4月2日、静岡県御殿場市。
小学校の校庭に体長約1mのイノシシが侵入し、教諭や児童ら5人にけがを負わせた。
一例として、兵庫県神戸市周辺について触れてみます・・・。
神戸市の背後には六甲山系の山々が広がっており、毎年500万人前後の人が訪れる人気の観光地でもある。
六甲山系には家族向け〜健脚向けの多くのハイキングコースが設定されていて、イノシシは訪れたハイカーから弁当や菓子の残りなどをもらう事を覚えていく。
一方、六甲山系を切り開いて造られた山すその街にもイノシシは姿を見せるようになり、特に子供のイノシシである「ウリ坊」は可愛がられ、人からエサをもらう事や、生ゴミの中からエサを探す事を覚えていく事になるが、そうした光景が見られるようになったのは1970年代であったとされる。
そうして、人の姿にも慣れてしまったイノシシは山から離れた街にも姿を現すようになり、神戸市の異人館街や西宮市の甲子園球場付近にも出没するようになった。
つまり、イノシシが街に出没するようになった原因は人の側にあり、開発による生息地の減少とイノシシが人の姿に慣れてしまった為だとされる。
確かに、ウリ坊は可愛らしい。
左の画像のような集団と出会ってしまったら、エサをあげたくなるのは誰しも同じだろうが・・・
「エサをあげる→人に慣れる→成獣として街に出没する→人や農作物に被害を及ぼす→捕殺される」というような図式にも発展する可能性は否定できないのだから、エサを与えるという行為は人にとってもイノシシにとっても悪い結果を招くように思える。
| ウリ坊 画像: 「うまから手帖◆旨辛エスニックで行こう!」様 |
もちろん、「エサをあげなければイノシシは街に出没しなくなる・・・」というような即効性パワーのある解決策ではない。
「エサをあげない!」という事は個人レベルでも実行できるが、「エサの豊富な生息地を再生する!」という行政レベルを主とした実行が伴わなければ解決には至らないだろう。
また、イノシシに限らず、シカやニホンザルなどの草食動物が街に出没するようになった事にも共通するが、本来はこれらの天敵であったニホンオオカミが絶滅してしまった事こそが最大の要因であるとも考えられている。
この場合、1匹のニホンオオカミが何匹の草食動物を捕食していたかという単なる数勘定だけではなく、ニホンオオカミの存在自体に草食動物の繁殖過多を抑止する効果があったともいわれる。
しかしながら、そのニホンオオカミを約100年前に絶滅させたのは人である・・・。
| * ニホンオオカミについては、当サイト「ニホンオオカミ」で書いています。 |
一部の地域では街中でイノシシを見る事に慣れてしまい、警戒感も薄れ気味であるという情報もありますが、イノシシはナイフのように鋭い牙を持つ野生動物であるという事を再認識をしてほしいと願います。
飼い犬に追いかけられたり、車やバイクなどと接触したイノシシであればパニック状態であり、俗にいう「手負いの猪」のような危険な状態になる事も予想されます。
| イノシシに注意 画像: 「イーコラム(兵庫県芦屋市で撮影)」 |
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