「矮小動物(わいしょうどうぶつ)」
原始と進化! 矮小(わいしょう)動物に関する2つの理論。 |
「恐竜エウロパサウルスは孤島に生息する事によって小型化(矮小化)したのか?」
上記は2006年6月11日に「CNN」などの各社で報道されたニュースの見出しとなる。
ドイツ北部・ザクセン地方の採石場から発見された11体分の竜脚類の化石は約1億5400万年前の草食恐竜の新種とみられ、「エウロパサウルス」と名付けられている。
竜脚類の代表としてはディプロドクス(全長約26m)、ブラキオサウルス(全長約25m)、カマラサウルス(全長約18m)などの名が上げられ、総じて大型化する事が特徴のひとつとなるが・・・
エウロパサウルスの推定全長は1.7〜6.2m。竜脚類の中では最小級となる。
全長1.7〜6.2mの恐竜エウロパサウルスと人との比較
画像:「Martin Sander, University of Bonn」様 |
「矮小(わいしょう)」という言葉を国語辞典で調べると、「背が低くて小さいこと」と記されている。
言葉通りに受けとめると、「私の家のダックスフンドは、友達の家のダックスフンドよりもかなり小さいが、矮小動物なのか?」という発想にもつながるが、このページで示す「矮小動物」という言葉には個体差による違いは含みません。
種全体、あるいは種の一部の場合は特定のグループとして矮小化している事を前提にしています。
通常、矮小動物とは様々な環境に対する適応の結果だとされる。つまり、「進化としての矮小化」というパターンになるが・・・
当サイトでは、古生物学者エドワード・コープの法則に基づく逆説的な発想として、「種を遡る矮小化」というパターンにも触れています。
但し、コープの法則自体が、現在の進化学の中では受け入れられていないという実情になります。
全長約18mのカマラサウルスに比べると、エウロパサウルスの全長は1/3 〜 1/10 程度の6.2〜1.7mとなるが、両者の化石は酷似しており、「進化の過程で小型化したのではないか?」とする見解がある。
化石が発見された一帯は、当時は四方を海に囲まれた孤島であったと考えられている。
孤島であればエサとなる植物の量も限られており、本来のカマラサウルスのような巨体では、エサが尽きてしまうのは時間の問題だ。
だが、姿かたちは同じでも、体を小型化できれば必要とするエサの量を減らす事ができる。
そこで、エウロパサウルスは環境への適応として小型化する。つまり、進化として矮小(わいしょう)動物になったとみられている。
強引に人間の場合で例えると・・・
「狭い部屋と限られた食事量で暮らすには、(プロレスラーや相撲取りのような)大食漢の大男どうしよりも、食の細い小柄な人達の方都合がいい。より多くの人数が、より多くの期間を暮らせる」というような考え方になる。
進化として矮小動物になったと思われる例は非常に多い。
エウロパサウルスのニュースが報道された際には、同様な例として身長1mのフローレス原人などが上げられていたが、当サイトではコビトマンモスの例を上げてみたい。
マンモスという言葉自体が「巨大」という代名詞的存在でもあるように、その最大種であるステップマンモスは体高4.5m前後にも達するが、コビトマンモスの体高は約1mで、左図のような感じになる。
コビトマンモスはロシアのウランゲリ島などに生息し、「乏しくなった食料に対する適応として矮小化したのではないか?」と考えられている。
また、コビトマンモスは約1万年前に絶滅したとされるが・・・
一説には、紀元前1700年前に最後の1頭が捕獲されたとも伝えられている。
体高1mのコビトマンモスと人との比較
画像:イーコラム |
アメリカにエドワード・コープ(1840〜1897)という古生物学者がいた。
多くの化石を発掘しており、前述のカマラサウルスなど56種もの新種の恐竜を発表している。更には、1200以上もの論文を発表しており、それらの論文のひとつに「コープの法則」がある。
コープの法則を簡単に説明すると、「生物は進化するにつれて巨大化する傾向がある」という事であり、逆にいえば、「同じ系統の生物の中では祖先に遡るほど矮小化していく」という事になる。
「パターン01 進化としての矮小化」ではコビトマンモスの例を上げたので、「パターン02 種を遡る矮小化」でもマンモスやゾウの祖先について触れてみると・・・
ゾウ類の祖先には2説あり、「モエリテリウム」と「フォスファテリウム」の名が上げられているが、何れにしても種を遡る矮小化を示す例である事に変わりはない。
「モエリテリウム(メリテリウム)」は約5500万年〜3800万年前に繁栄。体長1.5m前後、体重125kg程度で、ブタのような姿をしていたと考えられている。
「フォスファテリウム」は約約6500万年〜5500万年前に繁栄。モエリテリウムよりも更に小さく、体長約60cm、体重15kg程度だったと考えられている。
モエリテリウム(メリテリウム)とフォスファテリウムとの比較
画像:当サイト「古代ゾウ」 |
一般的には「巨大生物」というイメージのあるUMAだが、その正体を「矮小動物」に求める事も少なくない。
例えば、左図はコンゴ共和国のテレ湖周辺に生息するとされるUMA、モケーレ・ムベンベとなるが、冒頭のエウロパサウルスの別バージョンかと思うほど、似たような構図となっている。
| モケーレ・ムベンベ 参考:当サイト 「モケーレ・ムベンベ」 |
アパトサウルスは竜脚類ディプロドクス科に属する草食恐竜で、本来は全長20m以上、体重20t以上という巨大さだが、エサ不足や手狭になった環境に対応する為の適応として小型化したという説がある。つまり、進化としての矮小化だ。
現地情報としては、「モケーレムベンベはゾウよりも小さく、カバよりも大きい」と伝えられている。
左の画像はコビトカバになるが、カバが体長3.5〜4m、体重1.2〜2.7t である事に対して、コビトカバは体長1.7〜1.8m、体重160〜275kg程度となる。
また、「コビトカバは、カバの先祖ではないか?」とも考えられており、「生きた化石」と呼ばれる。
つまり、種を遡る矮小化だ。
今でこそ、現生動物として日本の動物園でも見る事のできるコビトカバだが、1844年にリベリアで発見されるまでは存在が噂されるに過ぎないUMAだった。
コビトカバが発見される以前のリベリア周辺には、「人よりも小さなカバとサイがいる」という情報があり、調査の結果、コビトカバは発見されたが、コビトサイは発見されなかったという事になる。
コビトサイの正体論については「コビトカバの誤認説」が上げられる他、中新世に繁栄した古代サイの小型種「ディケラテリウム類」の生き残り説が上げられている。つまり、種を遡る矮小化だ。
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