「天池の怪獣」
中国・長白山「天池」で目撃される怪獣の正体とは? |
中国と北朝鮮との国境線上に位置する休火山「長白山」の火口には「天池」と呼ばれるカルデラ湖がある。
その天池で「体長3〜8mの巨大生物を見た」という目撃情報が数多く寄せられており、中国語では「天池湖怪」や「天池怪獣」と呼ばれている。
| 天池の怪獣の想像図 画像: 「ロイター通信(2003年7月15日付)」様 |
天池の怪獣に関する最も古い情報は100年ほど前の1903年頃となるが、日本での知名度という点では、ここ数年になるのではないだろうか?
2002年に放映された日本の特集番組では、「その正体は古代クジラの生き残りではないか?」とする説が上げられていた。
2003年のロイター通信には天池の怪獣の想像図(上の画像)が添えられているが、その姿は絶滅したジュラ紀の海生爬虫類であるプレシオサウルスやムラエノサウルスの生き残りを想像させるものであった。
やはり、天池には何か巨大な生物が生息しているのだろうか?
そして、その正体は絶滅したはずの古代クジラや海生爬虫類などの生き残りなのだろうか?
まずは、天池の怪獣に関する目撃情報を調べる事からはじめてみよう!
天池の怪獣に関する情報は非常に多く、最近20年間だけでも30件以上の目撃報告と1000人以上の目撃者がいると伝えられている。
2003年7月11日
吉林省及び甘粛省の政府関係者ら10人以上が複数頭の謎の生物を目撃している。
目撃者のひとりである張魯風氏(吉林省林業庁・副庁長)によると、「2〜3kmは離れていたので、50倍の望遠鏡を使っても白や黒の点にしか見えなかったが、波紋の動きから生物である事を確信した。謎の生物は約50分の間に5回ほど出現し、1頭だけで現れる事もあれば、複数匹で現れる事もあったが、最後には約20頭が同時に現れた」と話している。
天池の怪獣の研究者である呉広孝氏によると、「天池の怪獣に関する目撃情報は夏季に集中し、通常は1〜2頭で現れる事がほとんどだ。1960年代に吉林省気象局の関係者が同時に7〜8匹が現れたという目撃情報を寄せているが、今回のように約20匹が同時に現れたというような例はなく、100年余にわたる目撃情報の中でも最多となる」と話している。
| 中国「新華網ニュース(2003年7月14日付)」よりアバウトに翻訳 |
2003年8月23日
観光客ら40人以上が同時に謎の生物を目撃している。
目撃者のひとりである張氏(吉林省白山市在住)によると、「最初に発見した国境警備兵が指差す方向を見ると、水中を泳ぐ黒い生物が見えた。体型の判断はできなかったが、全長は3m以上あるように思えた」と話している。
| 中国「新華網ニュース(2003年8月25日付)」よりアバウトに翻訳 |
2005年7月7日
北江発電所(吉林省白山市撫松県)に勤務する鄭長春氏らの一行が、天池の湖心付近に現れた黒い物体を約1分間にわたって目撃、ビデオカメラにその様子を収めた。
鄭長春氏によると、「黒い物体が水しぶきを上げながら3回現れ、最後は水中に消えた。距離は1000m以上あったが、(周囲との比較から)目撃部分だけでもウシの頭ぐらいの大きさがあり、全体的にはかなり巨大であったと想像できる」と話している。
| 中国「新華網ニュース(2005年7月9日付)」よりアバウトに翻訳 |
2006年6月24日
観光客ら十数人が約3km先の湖面を移動する黒い物体を目撃している。
写真撮影にも成功しているが、距離が遠すぎた為、残念ながら鮮明には撮影できなかった。
| 中国「東北網ニュース(2006年7月3日付)」よりアバウトに翻訳 |
尚、このニュースの中では、中国側の考察による「天池の怪獣の正体論」が下記のように示されている。
(1) オオカリ(大雁)誤認説
(2) カワウソ誤認説
(3) クマ誤認説
(4) 恐竜など、絶滅した巨大生物の生き残り説
2007年8月19日
午後6時頃、約100人の観光客が約10分間にわたって湖面を泳ぐ2つの物体を目撃している。
その後、大きな白波が起こり、物体は消え去ったとの事だ。
| 人民網日文版(2007年8月24日付)」よりアバウトに要約 |
天池の怪獣の正体論に迫る前に、長白山と天池について触れてみよう。
冒頭でも書いているが、長白山は中国と北朝鮮との国境線上に位置する休火山であり、海抜2691m。名前の由来は「長い間(年間約9ヶ月間)、雪で白く覆われる山」だとされる。
最近の大規模な爆発は300年ほど前の1702年4月14日となり、噴火の沈静後に雨や雪水、湧水などによって海抜2150mの湖「天池」が形成されていく。
長白山は100年ほど前の1903年にも小規模な爆発を起こしており、魚類などが生息できる環境ではないとされていたが、1968年以降、ニジマスなどの稚魚の放流が行なわれ、現在では繁殖しているという事だ。
天池から流れる水は「乗槎河」という小川となり、長白山を下っていく。
その途中では「長白瀑布」と呼ばれる落差68mもの滝になり、他にも複数の滝がある。そして、この流れが中朝の国境を分ける大河(松花江、図們江、鴨緑江)となっていく。
(注) 長白山のデータについて
ご存知の人が多いとは思いますが、長白山の頂上付近は中国側と北朝鮮側に分かれており、北朝鮮側を「白頭山」、中国側を「長白山」とする呼び分けもあります。
白頭山として見た場合は、最高峰は北朝鮮側にある将軍峰、標高2749mとなり、長白山として見た場合には、中国側の白雲峰、標高2691mが最高峰となるようですが、このページでは中国側のデータを参考にしています。 |
ツキノワグマ誤認説
長白山付近に生息する大型の野生動物をみてみると、東北虎(アムールトラ)や遠東豹(アムールヒョウ)、黒熊(ツキノワグマ)などの名が記されているが、アムールトラやアムールヒョウは数頭レベル(2000年、吉林省林業庁調査)に過ぎず、目撃される事自体が極めて稀となるので、実際に人から目撃され、誤認される可能性があるのはツキノワグマになるだろう。
| ツキノワグマ 画像:「イーコラム(大阪市立天王寺動物園で撮影)」 |
「ツキノワグマ? クマはクマだろう。天池の怪獣と呼ばれる謎の生物と見まちがえたりはしない!」と思う人が多いだろうが、それは「(動物園やテレビなどで)その場所にいる事が当然の動物をハッキリと見る事ができる状況」というような話のようにも思う。
例えば、イリエワニやホッキョクグマは泳ぐ事が得意であり、陸地から数km以上も離れた沖合いで目撃される事もあるが、それらの姿をハッキリと認識できない状況での目撃であれば、「あれは何だ?」という事になるのだろう。
同様に、ツキノワグマも泳ぎが得意であり、水面に大きな波紋を広げながら湖沼などを泳ぐ。
やや離れた場所から目撃した場合には、それがツキノワグマであるとは思えない。魚にしては大きすぎる波紋であり、黒っぽい巨大魚か、謎の大型生物に見えるのではないだろうか?
ましてや、天池であれば先入観もあり、怪獣として誤認される可能性は低くないと推測する。
水柱説
この説は取引先の青年(吉林省長春市在住)から聞いた話だが・・・
長白山の火口湖である天池では水柱の発生が多く、水柱の発生直後の湖面は黒く濁るそうだ。
つまり、天池で数メートルの水柱が上がり、直後に湖面が黒く濁る状況は、水しぶきを上げて現れた黒っぽい巨大生物に見えるという事になる。
ちなみに、この水柱説は彼の交友関係の範囲では定説になるそうだ。
水柱が発生するメカニズムはマグマ活動の活発化との関連性が高いとされるが、その関連性を裏づけるようなニュースも報道されている。
以下、次の点線までは韓国紙「中央日報(2006年10月31日付)」より引用、要約。
長白山気象台の地震記録によると、白頭山は02年以降、天池を中心に、地震回数が例年に比べて5倍ほど増えており、中国・国家地震局側は「天池の火山が噴出する可能性は100年以内に10〜20%にのぼる」とした。
絶滅動物生き残り説
非常に残念だが、海生爬虫類「プレシオサウルス」や古代クジラ「バシロザウルス」の生き残り説は却下せざるをえない。
もちろん、「今の時代にジュラ紀や始新世に繁栄した古生物が生き残っているわけがない」というような、大人げない正論を振りかざすつもりはないが、前述のように天池の誕生は古くとも約300年前であり、「水を入れたばかりのプールの中に古生物がいた!」というような話に等しいようにも思える。
100歩譲って、これらの海生動物が淡水に適応化し、川を上って来たとする激甘な設定であっても、長白瀑布などの巨大な滝を上れるとまでは、さすがに書けない。
(上)プレシオサウルス 全長2〜5m
三畳紀後期〜ジュラ紀前期に繁栄した海生は虫類。
(下)バシロザウルス 全長20m以上
始新世に繁栄した古代クジラの一種。
画像:「イーコラム」 |
「参考サイト、資料、画像など」
画像:ツキノワグマ、プレシオサウルス、バシロサウルス 「イーコラム」
参考サイト:「白頭山天池」様
2007/09/01 NEW (イーコラム)
2005/08/26 旧サイト |
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UMA/動物系総合サイト「イーコラム_地球と生物の不思議」
CONTENTS
「イーコラム」 地球と生物の不思議に関するコラムのようなコンテンツ
「UMAコラム」 絶滅動物とUMA(未確認生物)に限定したコラムのようなコンテンツ
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