「サンダーバード」
ネイティブアメリカン伝承の巨鳥(ビッグバード)は実在するのか? |
左の画像はネイティブアメリカン(北米先住民族)の彫刻柱「トーテムポール」だが、そこには各種族のルーツや経験、伝承などを意味する様々な動物や自然物などが彫られるとされ、その中には「サンダーバード」と呼ばれる巨大な鳥(巨鳥)の姿もある。
つまり、サンダーバードとはネイティブアメリカンの間に伝承される巨鳥だという事になる。
| トーテムポール 画像: 「Classroom Clipart - Free Clipart」様 |
神話としてのサンダーバード
神話でのサンダーバードは「目から稲妻を放ち、翼を羽ばたかせて嵐を起こす・・・」と伝えられているが、当然ながら額面通りに受け取るような話ではない。
恐らくは自然界への畏敬の念や戒めなどを抽象化した一面を持つのではないかと思うが、日本の伝承でいうなら風神と雷神だろうか?
ただ、ネイティブアメリカンに於けるサンダーバードの存在は、宗教的な意味合いを持たない雷の精霊の総称だとされる。
UMAとしてのサンダーバード
北米では時々、巨大な鳥のような生物が目撃されており、人を襲った事件さえも報告されている。
また、個体情報についてはカナダ及び全米の複数の州から目撃されている為、ばらつきがあるが、翼開長約3〜7mにも達する巨大さだったと証言されており、その事から「ネイティブアメリカン伝承の巨鳥、サンダーバードではないか?」といわれる。
そして、その巨大さからUMA関係では文字通り「ビッグバード」とも呼ばれる。
1868年、米国ミズーリ州ティッパー郡
小学校の校庭にいた8才の少年(Jemmie Kenney)が巨大なワシに襲われるという事件が起こっている。
校庭での騒ぎに気づいた教師が表に出た時には、既にワシは少年をつかんだまま空高く舞い上がっていたが、教師や児童達の叫び声に驚いた為だろうか? ワシは少年を放し、少年は墜落死したと報告されている。
1890年4月、米国アリゾナ州
4月26日付けのツームストーン・エピタフ紙によると・・・
「2人のカウボーイが頭上を飛ぶ巨大な鳥をライフル銃を使って撃ち落とした」として、イラストと共に報道している。
| 巨大な鳥 画像: 「ツームストーン・エピタフ紙」様 |
1948年4月4日〜5月5日、米国(イリノイ州、ミズーリ州など)
4月4日。元陸軍大佐であるWalter F. Siegmund氏が「イリノイ州アルトン上空を飛行中にグライダー位の大きさの鳥を見た」と話している。
4月10日。Clyde Smith夫妻などが地上から巨大な鳥を目撃している。
夫妻によると、「最初は飛行機かと思ったが、翼が羽ばたいているのを見て鳥だとわかった」と話している。
4月24日。一般市民や警察官などが地上から目撃している。
市民のEM Coleman氏は「巨大な鳥の胴体は魚雷と同じ位の大きさだった」と話し、別の場所と時間に目撃した警察官2人は「鳥の大きさは小型飛行機以上だった」と話している。
4月27日にはミズーリ州の航空学校(セントルイス・ランバート国際空港)の教官も目撃しており、この一連に関する情報は5月5日まで寄せられる事になる。
その後、一旦は終結したかのようにも思えるが、散発的な目的情報は寄せられていたとも伝えられる。
1977年7月25日〜11月1日、米国イリノイ州
7月25日。イリノイ州ローガン郡のローンディールという小さな町で、3人の少年達が2羽の巨鳥に襲われるという事件が起こっている。
そして、そのうちの1羽が10才の少年(Marlon Lowe)をつかんだまま舞い上がったが、少年の悲鳴に気づいた母親が叫び声を上げながら駆けつけた事によって巨鳥は少年を放し、飛び去っていった。
この時の証言によれば、少年は高さ3フィート(約91cm)まで持ち上げられ、35フィート(約10.6m)ほどを運ばれたという事だが、母親が駆けつける事ができなかった場合には、何処かへ運び去られていた可能性もあったとされる。
2羽の巨鳥は「イリノイの巨鳥」と呼ばれ、その後約3ヶ月間にわたって多くの人達から目撃される事になる。
目撃者の証言によれば、巨鳥の翼開長は約3m。体色は黒だが、首の周りはリング状に白くなっている部分もあったとしている。
尚、イリノイの巨鳥に関する情報は11月1日を最後に途絶えている・・・。
2002年10月、米国アラスカ州南西部
10月15日付けのアンカレッジ・デイリーニュースによると、「トギアク(Togiak)やマノコタック(Manokotak)周辺の住民やパイロット達から巨大な鳥の目撃情報が寄せられている」と報道している。
あるパイロットは「先週、ディリングハム(Dillingham)からトギアクへの飛行中に目撃したが、鳥の大きさは自分が操縦するセスナ207型(全幅約11m)の片翼ぐらい(約4.2m)あった」と話している。
| アバウトなアラスカ州の地図 作成: 「イーコラム」 |
上図の「アバウトなアラスカ州の地図」について補足すると・・・
ご存知のように、シベリア(ロシア)とアラスカ州(米国)の間にある狭い海峡を「ベーリング海峡」と呼ぶが、最短部の距離は88kmしか離れておらず、水深も40〜50mと浅い。
その為、海面が大幅に下がったヴュルム氷期(約7万年前〜1万年前)の一時期(約5万年前〜3万5千年前、及び約2万5千年前〜1万年前)には現在のベーリング海峡付近は陸化し、シベリアとアラスカ州は陸続きになった事から「ベーリンジア(ベーリング地峡、ベーリング陸橋)」と呼ばれる。
そして、そのベーリンジアが存在した2回目の時期(約2万5千年前〜1万年前)に、東アジアから北米へと移動したモンゴロイドがネイティブアメリカンの祖先であると考えられている。
時期的な事に関しては諸説あるものの、遅くとも約1万2千年前までには北米に渡り、約1万年前までには南米に達したとみられている。
テラトルニスコンドル説
「人類がリアルタイムに目撃した最大の鳥類であり、伝承のサンダーバードのモデルでもある」といわれるのがテラトルニスコンドルとなる。
最大個体では翼開長5m以上、体重20kg以上にも達するテラトルニスコンドルは北米や南米に分布し、約1万年前に絶滅したとされるが、東アジアから移動して来たネイティブアメリカンの祖先達も約1万年前までには北米を経て、南米に達したとされており、この事から「人類がリアルタイムに目撃した最大の鳥類である」といわれる。
また、「伝承のサンダーバードのモデル・・・」という事については推測となるが、東アジアから移動して来たネイティブアメリカンの祖先達ならオオワシ(翼開帳2.2〜2.5m)は知っていても、その倍ほどの大きさもあるテラトルニスコンドルの事は知らなかったと思われる。
そして、初めて見るテラトルニスコンドルの巨大さに、驚きと畏敬の念を抱いたのではないだろうか?
あるいは、テラトルニスコンドルほどの大型種ともなれば、上昇気流を最大限に利用できる雷雨の前や嵐の前こそが絶好の飛行条件であり、目撃される機会も多かったと思われるが、そのような時には地上よりも先に上空付近に強い風が吹きはじめる。
そして、テラトルニスコンドルが姿を現した後には風が強まり、雷雨や嵐となる事から、「サンダーバードは目から稲妻を放ち、翼を羽ばたかせて嵐を起こす・・・」という神話としての伝承につながったのではないだろうか?
日本でいえば、「トビが高く飛べば大雨や大風になる」という観天望気(天気のことわざ)のような部分もあったのかもしれない。
テラトルニスコンドル
翼開長3.3〜4.2m、体重15kg前後
生息時期:約180万年前〜1万年前 分布:北米、南米
画像: 「イーコラム」 |
カリフォルニアコンドル説
現生種であるカリフォルニアコンドルの翼開長は2.5〜2.9mにも達し、北米最大の鳥類と呼ばれる。
かつては米国全域に分布していたという事だが、家畜を襲うとされる誤解や、死肉を食べる不吉な鳥として狩猟され続けた結果、1900年代までにはカリフォルニア州のみに分布し、1980年代にはわずかに22羽が生息するだけだったと伝えられている。
つまり、前述の「サンダーバードの目撃例」での年代では、既にカリフォルニアコンドルは見なれない巨鳥であり、目撃者にとっては文字通りビッグバードであり、サンダーバードであったのかもしれない。
尚、カリフォルニアコンドルの野生個体は1987年に全て保護され、2004年までには200羽以上を人工飼育し、うち100羽以上をカリフォルニア州などの野生に返したという事です。
オオワシ説
日本の天然記念物に指定されているオオワシの翼開鳥は2.2〜2.5m。
本来はオホーツク海沿岸やカムチャッカ半島、千島列島、日本の北海道などに分布するが、迷鳥として米国アラスカ州などに飛来する事もあり、2002年10月にアンカレッジ・デイリーニュースが報道した巨鳥の正体はオオワシの誤認ではないかとみられている。
ちなみに、オオワシの英名はSteller's Sea Eagleであり、ステラーウミワシとして訳される事もある。
絶滅動物説
上記のように、北米で目撃されるビッグバード(サンダーバード)の正体は大型鳥類の誤認だとされる事が多い。
しかしながら、その一方では「大型鳥類の誤認・・・」という事だけでは片づける事のできない情報が寄せられている事も確かだ。
例えば、1868年のミズーリ州ティッパー郡では8才の少年がワシに持ち上げられたと報告され、1977年のイリノイ州ローガン郡でも10才の少年が巨鳥に持ち上げられたと報告されているが、当然ながら現生鳥類にできる事ではない。
最も重い獲物を持ち上げる事ができる現生鳥類は、中南米の熱帯雨林に生息するオウギワシ(翼開長1.7〜2m)だといわれており、サルやナマケモノ、イグアナなどをつかんだまま飛び去る事ができるが、それでも4kg程度が上限だとされる。
恐らく、オウギワシの最大級の個体であっても、上限(約4kg)プラス数キロというところではないだろうか?
また、前述の「サンダーバードの目撃例」の中では様々な職業の人達からの情報が寄せられているが、特に1948年のイリノイ州などでの事例、及び2002年のアラスカ州での事例では、信頼性の高い情報提供者とされる現役パイロット達からの情報が寄せられており、「グライダー位の大きさの鳥を見た」とか「鳥の大きさはセスナ207型の片翼ぐらいあった」とする証言を頑なに否定する理由は見つからない。
そして、上記のように「大型鳥類の誤認・・・」という事だけでは解決できない部分を残す事から、前述のテラトルニスコンドルや約500万年前に絶滅したとされる史上最大の巨鳥アルゲンタビス(翼開長5.7〜8.3m)、あるいは白亜紀後期の翼竜プテラノドン(翼開長7〜8m)などの生き残り説が上げられる事になる。
やはり、サンダーバードの正体は古代鳥類や翼竜の生き残りなのだろうか?
但し、コンドル類であるテラトルニスコンドルやアルゲンタビスはもちろん、大型翼竜であるプテラノドンも含めて滑空飛行が主であり、人間を持ち上げるだけの脚力や羽ばたく力はなかっただろうとも考えられている・・・。
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