「パナマ地峡(パナマ陸橋)」
約300万年前に形成されたパナマ地峡と絶滅動物との関係! |
| * このページは、当サイト「パンゲア大陸」の続編的な構成になっています。 |
ご存知のように、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸は陸続きになっています。
その両大陸を結ぶ細長い陸地部分を「パナマ地峡(パナマ陸橋)」と呼びますが、両大陸がパナマ地峡の形成によって陸続きになったのは約300万年前だと推定されています。
パナマ地峡は文字通りパナマプレート(カリブプレート)上に位置します。
一説によれば、約2500万年前〜1500万年前に太平洋プレートがパナマプレートの下に沈みこみはじめ、それに伴う海底の隆起と火山の噴火によって島々が点在するようになったとされます。
左上の画像(約500万年前の想像図)では、現在のパナマ共和国やコスタリカ共和国に相当する陸地がほぼ形成されているようですが、まだ北アメリカと南アメリカを陸続きにするには至っていません。
その後、約300万年前にパナマ地峡は完全に形成され、両大陸は現在のような陸続きになったと考えられています。
パナマ地峡の形成
画像(上):「Tom Gidwitz」様
画像(下):「白地図、世界地図、日本地図が無料」様 |
パナマ地峡は最短部では幅わずか64kmという小さな陸地ですが、地球に及ぼした影響は相当に大きいようです。
パナマ地峡が形成された事によって、北アメリカと南アメリカとの間を流れていた海流は遮断される事になりますが、「このような大規模な海流の変化が、氷河期をもたらす要因のひとつではないか?」とも考えられています。
パナマ地峡の形成は、南アメリカの動物相をも一変させています。
ジャガー
例えば、現生種であるジャガー(ネコ目>ネコ科>ヒョウ亜科)には、「南米の動物」というようなイメージがありますが、元々は北米原産であり、南米には分布していませんでした。
ジャガーはパナマ地峡を渡って南米にも拡散していったと考えられていますが・・・
その後、1905年にジャガーの1亜種である北米のアリゾナジャガーは絶滅したとされており、その事から「北米のジャガーは絶滅した」とか「ほぼ絶滅状態である」とかいわれるようです。
また、そのような事から、現在ではジャガーの分布域を「北アメリカ大陸南部〜南アメリカ大陸」や「北米南部〜南米」、「中南米」などと記すようです。
「北米のジャガーは絶滅したとされるのに、北米南部にも分布しているというのは変じゃないか?」とも思えるでしょうが・・・
分類によってはジャガーは8亜種(絶滅亜種も含む)に分けられ、このうちユカタンジャガーやメキシコジャガーなどは絶滅の危機に瀕しながらも、メキシコ合衆国に生息しています。
メキシコ合衆国は外務省のHPでも中南米と区分されているように、文化的区分では中南米になるのでしょうが、地理的区分では北米に属するので、「北アメリカ大陸南部〜南アメリカ大陸」を簡略化した「北米南部〜南米」という表記になるのだと思われます。
あるいは、メキシコ合衆国と隣接するアメリカ合衆国南部にはジャガーが生息しているとする見解もあります。
尚、ジャガーについては、当サイト「ジャガーの動画」の中でも書いています。
スミロドン
サーベルタイガーの代名詞的存在として知られるスミロドンも、元々は北アメリカ原産であり、やはりパナマ地峡を渡って南アメリカにも拡散していったと考えられています。
「サーベルタイガー」とはネコ目>ネコ科>マカイロドゥス亜科に分類される動物の総称であり、「スミロドン」とはマカイロドゥス亜科>スミロドン属に分類される3〜4種の総称になります。
そのスミロドンの生息年代は「300万年前〜1万年前」であるとか、「250万年前〜1万年前」であるというように推測されていますが、これは北アメリカのスミロドン全般の生息年代となるようです。
一方、南アメリカのスミロドンであるポプラトル種(Smilodon populator)の生息年代は約100万年前〜1万年前だと推定されており、パナマ地峡を渡って南アメリカに到達したスミロドンが、南アメリカでポプラトル種に進化したと考えられるようです。
ポプラトル種はスミロドン属の最大種であり、現在のネコ科動物でいえばライオンぐらいの大きさだったようです。
その犬歯の長さは21〜24cm以上にも達したとみられており、この「スミロドン・ポプラトル」こそが、一般的にイメージされる「サーベルタイガー」や「スミロドン」となるようです。
尚、サーベルタイガーについては、当サイト「スミロドンの動画」の中でも書いています。
その他
ジャガーやスミロドンのほか、ピューマ(別名クーガー)、コヨーテ、ハイイロギツネなどが、パナマ地峡を渡って南アメリカに進出しています。
上記の動物達はネコ科、あるいはイヌ科に分類される肉食性の真獣類になりますが、パナマ地峡が形成される以前の南アメリカには強力な肉食性の真獣類はいなかっただろうと考えられています。
では、パナマ地峡が形成される以前の南アメリカの生態系はどのようになっていたのでしょうか?
パナマ地峡が形成される以前の南アメリカでは、有袋類と鳥類の一部が生態系の上位を占めていたと考えられています。 まず、有袋類について触れてみると・・・
一般的には、オーストラリアのコアラやカンガルーなどの草食性の有袋類をイメージする事が多いと思いますが、その一方ではオオフクロネコやタスマニアデビルなどの肉食性の有袋類がいます。
また、1936年に絶滅したフクロオオカミは、近年では最大の肉食性の有袋類として知られていました。
オーストラリアの有袋類は適応放散と収斂進化(しゅうれんしんか)の好例として上げられる事が多く、「フクロオオカミは他大陸のオオカミのような存在であり、オオフクロネコは他大陸の野生ネコのような存在である」といわれますが、同様な現象は南アメリカでも起こっていました・・・。
ティラコスミルス
前述のフクロオオカミが「オオカミのような有袋類」と呼ばれる事に対して、約530万年前〜160万年前の南アメリカには、「サーベルタイガーのような有袋類」と呼ばれるティラコスミルスがいました。
上のイラストがティラコスミルスの想像図になりますが、体型的にはジャガーぐらいの大きさだったと推定されています。
下顎が下方向に出っ張ったような形になっていますが、これは自らの犬歯で喉元などを傷つけないようにする為のガードのような役割をしていたようです。
その長大な犬歯を武器にして、まさしくサーベルタイガーのようなニッチ(生態的地位)を占め、南アメリカ最強の有袋類とも呼ばれたティラコスミルスですが・・・
パナマ地峡の成立後、北アメリカから渡ってきた肉食性の真獣類との生存競争に敗れて絶滅したようです。
フォルスラコス類
次に、鳥類について触れてみると・・・
パナマ地峡が成立する以前の南アメリカでは、フォルスラコス類(ツル目フォルスラコス科に属する鳥類の総称)も生態系の上位を占めていました。
フォルスラコス類は肉食性の飛べない鳥類であり、最大種では体高2.5m以上にも達したと推定されていますが、やはりパナマ地峡の成立後に、北アメリカから渡ってきた肉食性の真獣類との生存競争に敗れて絶滅したようです。
逆に南アメリカから北アメリカに渡ったフォルスラコス類もいて、米国のテキサス州やフロリダ州などから化石が発見されていますが、年代測定によると約500万年前のものだと推定されるようです。
約500万年前というと、パナマ地峡の成立以前・・・という事になりますが、島づたいに渡っていったのだろうと考えられるようです。
このページの冒頭に約500万年前の想像図がありますが、「なるほど!」というような感じで見る事もできます。
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