大津E群ニホンザル
大津E郡(京滋1群)にみるニホンザルの行方! |
ニホンザル
分類:霊長目>オナガザル科>マカク属>ニホンザル
頭胴長:54〜61cm(オス)、47〜60cm(メス)
尾長:8〜12cm(オス)、7〜10cm(メス)
体重:12〜15kg(オス)、8〜13kg(メス)
ニホンザルは日本の固有種であり、北は青森県下北半島から南は鹿児島県屋久島までの広い範囲に分布し、ホンドザルとヤクシマザルの2亜種に分類される。
ヤクシマザルは屋久島のみに分布し、日常的には「屋久猿(ヤクザル)」とも呼ばれる。
尚、青森県下北半島に生息するニホンザルは、ヒト以外の霊長類の中では最も北に分布するという事から「北限のサル」と呼ばれる。
その下北半島などでの雪の中のニホンザルの姿は日本から見れば珍しい事ではないが、世界的に見た場合にはヒト以外の霊長類は熱帯〜温帯に分布し、積雪地域に分布する事は珍しいという事から、英語では"Snow
Monkey(雪のサル)"とも呼ばれる。
殺処分への経緯
滋賀県内には133群のニホンザルの群れがあるとされる。
大津市内には8群あり、そのひとつである大津E群は46〜51頭(平成18年3月調査時)。坂本地域から南の比叡山を縄張りにしている。
大津E群のニホンザル達は非常に人慣れており、人を恐がらない。
住宅街に現われて、人や農作物に被害を及ぼすという事から・・・
平成18年3月14日、個体数調整という名の元に13頭が殺処分になる事が決まった。
また、大津E群は京都府と滋賀県の共通名称として「京滋1群」とも呼ばれる。
いわゆる「猿害」を受ける人達にとって、大津E郡のニホンザル達は厄介以外の何者でもない。
人身被害としては、10〜15頭もの群れに囲まれて、引っ掻かれるなどの直接的な被害を受けた例が報告されている。
また、直接的な被害を避けることができた場合であっても、10〜15頭もの群れから威嚇されたという事自体が、精神的あるいは間接的な人身被害と呼べるのかもしれない。
民家に侵入したり、民家の屋根瓦やテレビアンテナなどを壊すという被害例も報告されている。
また、最も被害件数が多いのが農作物であり、大根などは根の上部の美味しい部分だけを食べるだけで、次々と食べ続けていくので被害総額は甚大になるし、生産者にとっては死活問題にもなりかねない。
そのような猿害状況なども考慮した上で、大津市ではニホンザル13頭の殺処分を決定したようです。
猿害ではなく、人害?
上記の殺処分への経緯を見る限りでは、「猿害を及ぼす大津E郡のニホンザル達にとっては仕方のない結末・・・」というようにも受けとめられてしまいそうですが、猿害を及ぼすようになった経緯をみれば、「猿害ではなく、人害ではないのか?」とも思えてきます。
その経緯とは・・・
昭和34 年から、途中の休止期間を経て、平成9年まで、研究、観光、被害防止のため、山中で餌付けが行われていました。
その後、人馴れが進んで被害拡大に結びついたため、組織的な餌付けは中止されました。
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途中での休止期間はあるものの、昭和34年〜平成9年(1959年〜1997年)までの40年間近くを組織的に餌付けされていたという事になりますが、「人に馴れてしまうには充分以上の期間だった」と、ほとんどの人が思うのではないでしょうか?
そのような状況の中で餌付けを中止すれば、エサを求めて人里に出没する事も、人馴れした大津E郡のニホンザル達にとっては採餌行動のひとつになるのかとも思います。
もちろん、人馴れさせてしまった事だけが人里に出没する原因ではなく、開発や植林による広葉樹林の減少も指摘されています。
ブナやシイなどの木の実のなる広葉樹林はニホンザル達にとってのエサ場であり生息域であったのですが、スギやヒノキなどの針葉樹の植林化が進んだ結果、広葉樹林は大幅に減少しています。
そのような背景を考えれば、「猿害」と呼ばれる事の根本は、人に原因のある「人害」であるとも思います。
殺処分→捕獲処分変更への経緯
猿害を及ぼすニホンザルを個体単位で殺処分する事はあっても、一度に13頭ものニホンザルを殺処分する事は異例中の異例であるとされ、大津市への決定に対して、抗議する声が数多く寄せられていたようです。
また、市議会議員や猿害を受けた人達の中にも、「殺処分だけが解決法ではない」という考えも多かったようです。
「ニホンザルが町に現れた際には、猿害を及ぼす前に山に追い返そう」というパトロール活動があって、管理人も参加させてもらいましたが、その際に猿害を受けた人達からお話を聞くと、「町に降りてこなければ、それでいい」と考える人達が大半であったという印象でした。
大津E群13頭の殺処分の決定から3日後の平成18年3月17日。
大津市は「できれば殺したくない」とした上で、6月市議会で予算を組み、群れを保護する檻(おり)を建設する考えがある事を示しました。
場所は大津市営放牧場、敷地面積は14.3ha。
(左の写真は完成→捕獲後の平成19年10月に撮影したものです)
| 大津E群の檻 画像:「イーコラム(大津市営放牧場で撮影)」 |
その後・・・
平成19年1月。
大津市は31頭を捕獲し、うち12頭を前述の大津市営牧場へ移し、残りは山に帰した。
12頭の内訳はオス3頭、メス6頭、子ザル3頭となり、上の写真でいうと3頭のオスは手前側の檻に入れられ、更には個体別に小さな檻の中に入れられて飼育されているが、これは互いへの干渉を避ける為だそうだ。
一方、メス6頭と子ザル3頭は奥側の檻の中だけで飼育されており、3頭のオスのように個体別に檻の中に入れられる事はない。
その後、捕獲時に妊娠中だった1頭のメスが出産。現在は計13頭のニホンザルが大津市営牧場で飼育されている。
では、その後の大津E群の動向は沈静化したのだろうか?
それについては、下記のようなニュースが伝えられています・・・。
大津市は、比叡山を縄張りとするニホンザルの群れ「大津E群」について、これまでの方針を転換し、全頭捕獲することを決めた。
群れの一部を捕獲してようすを見ていたが、出没頻度がほとんど減っていないためで、関係団体と捕獲計画を策定する一方、捕獲費用や飼育用のおりを改修する費用として、12月定例市議会に提出する補正予算案に669万円を計上した。
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では、大津E群の残りの全頭を捕獲した後の、空っぽになった彼らのテリトリーはどうなるのだろうか?
それについての大方の見方としては、「恐らく、隣接する大津D群が進出してくるであろう・・・」とみられている。
大津D群は100頭前後にも達する大きな群れではあるが、現状では大津E群のような人馴れはみられないといわれています。
ただ、将来的に餌付けの習慣がついてしまえば、大津E群の再来となる可能性は否定できないでしょう。
また、ニホンザルに限らず、イノシシやトビ(トンビ)などであっても同様であるとも思います。
ハイキングやドライブなどで山を訪れた時に子ザルやウリ坊などが現われたら、エサになるような食べ物を与えたくなる気持ちはわかりますし、優しい人であるとも思います。
しかし、その繰り返しの結果が大津E群のような例につながるのなら、人にとっても野生動物にとっても悪い結果しか招かないように思いますし、「猿害」や「猪害」という言葉もなくならないように思います。
左の写真は大津市営牧場のメスザルと子ザルが飼育されている檻の中の様子ですが、鉄柱と金網に覆われただけの殺風景なもので、子ザル達が遊べるものといえば、無造作に立てかけてあるアルミ製の脚立ぐらいのものでした・・・。
| 大津E群の檻 画像:「イーコラム(大津市営放牧場で撮影)」 |
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