「クラーケン」
語源、目撃例、正体論などからクラーケンを検証。 |
海洋の未確認生物の総称としてシーサーペントやクラーケンといった言葉が使われるが、シーサーペントが「海ヘビのような細長い生物」という全体像を持つ事に対して、クラーケンは「全貌(全体像)を知る事のできない巨大生物」に対して使われると、当サイトでは解釈しています。
また、クラーケンの正体論については、全長25mにも達する巨大タコ「オクトパス・ギガンテウス」などの巨大な頭足類(イカ、タコなど)の他、巨大な甲殻類(エビ、カニなど)や、巨大なクラゲなどが上げられている。
「全貌(全体像)を知る事のできない巨大生物」という事について補足してみると・・・
上の画像はクラーケンの代表例となるが、誰が見ても巨大なタコだ。
しかし、この画像は「クラーケンの正体論のひとつとして、巨大なタコが考えられる」という解釈のもとで描かれているのだろうから、そう見える事が当然ともいえる。
では、クラーケンに襲われる立場である船員達の視点はどうであろうか?
巨大タコが海面から触手だけを現わした状態であれば、海ヘビ型の未確認生物「シーサーペント」のようでもある。
あるいは、「あれはタコか?」と冷静な観察をする船員もいたのだろうが、「あれはタコだ!」と断定する迄には至らなかっただろうと推測する。
船よりも大きなタコが存在するとは思えない事が一般常識であるし、常識外の状況に遭遇した時には、俄(にわか)には信じられない(信じたくない)。いわゆる「Oh!
my god」的思考が人間の性でもある。
いずれにしても、「全貌(全体像)を知る事のできない海洋の巨大生物」、あるいは逆説的に「一部を見て全体を想像するしかない海洋の巨大生物」の事を「クラーケン」と呼ぶと、当サイトでは解釈しています。
恐らく、クラーケンという言葉を用いた最古の記述は1735年に発刊された「自然の体系(著)カール・フォン・リンネ」であり、次に上げられるのが1752年に発刊された「ノルウェー博物誌」ではないかと思うが、インパクトという点では後者になるだろう・・・
それによると、「クラーケンの背は1マイル半(約2414m)ほどもあり、全貌を知る事はできない」という事だ。
また、「クラーケンの背を島だと思って上陸した船員が焚火(たきび)をはじめたところ、海に潜りはじめた」という類のエピソードも数多くあるが、これは元々が北欧神話の怪物であったクラーケンが、他の神話と複合した結果ではないかと推測する。
例えば、同じ北欧神話に登場する怪物アスピドケロンは、「巨大な海亀や魚のような姿をしており、浮島のように移動する」と伝えられている。
しかしながら、この「島のように大きいクラーケン」というイメージも、1801年に発刊された「軟体動物誌」によって一新されたようにも思える。
「全貌を知る事のできない海洋の巨大生物」という定義に変わりはないものの、その大きさに関しては多くの人が全長数十メートル程度の頭足類をイメージし、全長数キロにも及ぶ島のような生物をイメージする人は少数派になるのではないだろうか?
もちろん、この少数派の人達がイメージするクラーケンは誤りではない。
ただ、当サイトの運営上の混乱を避ける為に、「島のように大きいクラーケン」というイメージは適用せず、古典的解釈、あるいは拡大的解釈として書くに止めておきます。
クラーケンという言葉の語源はノルウェー語で北極を意味する「クラーク」になるとの事だが、クラーケンに関する最も初期の目撃情報も12世紀のノルウェー近海であるとされる。
他説では8〜11世紀に暗躍したスカンジナビアの武装船団ヴァイキング達であるともされるが、ノルウェー近海を含む事に変わりはない。
そして、クラーケンはアイスランド沖やアフリカ南西部のアンゴラ沖などにも出没し、19世紀頃までは目撃情報が寄せられていたという事だが・・・
これはどういう事だろうか? クラーケンは期間限定で出没していたという事になるが、「8〜12世紀に誕生して、19世紀頃に死滅した絶滅動物だ」とは、さすがに書けない。
やはり、古き良き時代の「作り話」に過ぎなかったのだろうか?
実は、クラーケンには「帆船」「凪(なぎ)」という2つのキーワードがあり、クラーケンの出現した時期は「バイキング船の時代(8〜11世紀)+帆船の時代(11〜19世紀)」に一致し、「風を失って減速、あるいは進む事ができなくなった帆船をクラーケンが襲撃する」という図式になる。
つまり、19世紀は風の影響を受けない動力船への転換期であり、更には木船から鉄船への転換、大型化、高速化などの理由により船舶がクラーケンの襲撃を受ける被害が激減したと推測されるが、皆無になったわけではない。
現代でもクラーケンが存在すると思われる痕跡は「グロブスター(海岸などに漂着した巨大生物の一部と思われる謎の物体。別名ブロブ)」という形で海岸に漂着し、船舶が巨大な頭足類に襲われるというニュースも報道されている。
1896年11月、米国フロリダ州セントオーガスティン
砂浜に埋もれたグロブスターには触手のようなものが認められ、8m以上の長さに達する部分もあった。
当時の鑑定者であるイェール大学のA.E.ヴェリル博士は「全長25mにも達する巨大なタコの一部である可能性」を示し、巨大なタコという意味の「オクトパス・ギガンテウス」と名づけている。
オクトパス・ギガンテウス
最も初期のグロブスター情報のひとつであるとされ、発見場所にちなんで「セントオーガスティン・モンスター」とも呼ばれる。 |
1930年代
ノルウェーのタンカー「Brunswick 号」がダイオウイカから数回の攻撃を受けたと報告している。
最終的には、ダイオウイカは船のスクリューに巻きこまれて死んだとの事だが、「(船を)クジラかイカとまちがえて攻撃したのではないか?」とみられている。
2003年1月、大西洋沖
世界一周ヨットレースに参加していたジェロニモ号の底部から異常な振動が発生したので、乗組員が船窓から様子を見たところ、人の腕ほどもある巨大な触手が貼りついていた。
船体を急反転をさせたところ、その生物は耐えきれずに触手を離し、姿を現わせたが・・・、それは全長7〜9mほどもある巨大なイカだった。
(補足)
天候状況にもよるが、視界の悪い雨の夜などであれば、船体に貼りついた巨大な触手を「触手」として認識する事さえ難しかった可能性もある。
船体を急反転をさせる事によって、その正体が巨大なイカである事がわかったが、不明のままに終わっていれば、パニック映画そのものの世界であり、「現代のクラーケン」というタイトルのニュース記事になっていたかもしれない。
2003年6月、チリ
海岸に漂着したグロブスターの長さは12m。
「オクトパス・ギガンテウスの一部ではないか?」、「クジラ類の脂肪の一部ではないか?」などの見解に分かれている。
タコもイカも非常に好奇心が強く、興味の対象には触手を巻きつけてくるので、結果として人や船舶を襲う形になる。
船舶への襲撃例は「クラーケンの目撃情報」内で紹介済みなので、ここでは人を襲う可能性のある頭足類について簡単に触れてみよう。
例えば、太平洋東部に生息する「アメリカオオアカイカ」は全長1〜2m、体重80kg前後の巨体であり、人を襲う事がある。
また、通常は全長2m前後であるミズダコも人を襲う事がある。
上記2例は全長1〜2mの頭足類であったが、これが20m級の巨大頭足類であれば「クラーケン」と呼ばれる事になるのかもしれない。
以下、当サイトではクラーケンの正体を「巨大イカ説」と「巨大タコ説」に限定して書いています・・・。
巨大イカ説
イカ類の最大級としては、ダイオウイカ(別名ジャイアント・スキッド))とダイオウホウズキイカ(別名コロッサル・スキッド)の2種類が上げられるが、ダイオウイカの最大個体は全長約18mにも達する。
一方のダイオウホウズキイカの場合はサンプルとなる個体数が少な過ぎる為、幼体を基にした推定全長となるが、最大個体では20m前後にまで成長するとみられている。
ダイオウイカとダイオウホウズキイカ・・・。
どちらが実際の最大種となるのかは分からないが、何れにしても「クラーケンの正体」として筆頭に上げられる巨大生物ではある。
巨大タコ説
現生種に於けるタコ類の最大級としては、ミズダコとカンテンダコの2種類が上げられる。
ミズダコは最大個体でも全長3m程度だとされているが、未確認情報レベルでは5m以上という個体が報告されている。
一方のカンテンダコの場合は全長4m以上、体重70〜75kgという記録がある。
この個体はトロール船に捕らえられ、ニュージーランドの科学者による鑑定を受けている(2002年3月)。
つまり、タコ類の最大級は全長4〜5mと予想され、十分に巨大ではあるが、クラーケンの正体とするには小粒感を否めない。
やはり、巨大ダコ「オクトパス・ギガンテウス」に登場してもらおう。
オクトパス・ギガンテウスは幻の動物としての域を出ない事が現状だが、決して「一笑に付す存在」ではないだろう。
1986年(米国フロリダ州)に漂着したグロブスターは、オクトパス・ギガンテウスの分布域から逸れた個体だとする見解がある。
つまり、全長25m前後にも達する巨大タコ達が何処かの海域で生息しているという事になるが・・・
それは、バハマ諸島周辺の海底洞窟「ブルーホール」に生息する巨大タコ「ルスカ」だとされる。
この海域には数百以上ものブルーホールが点在するが、内部には鍾乳石が残されている事から、海水準の低い時代に陸上で形成されたものが、現在の海水準に変動する事によって海へ沈んだと推測されており、「巨大な蛸壺(たこつぼ)状態」という見かたもできる。
そのブルーホールに生息するとされるルスカの全長は約25m(全長25〜60mの間で諸説あり)・・・。
ダイオウイカの種としての記載が1857年である事や、ダイオウホウズキイカの記載が1925年である事を考えれば、新たな巨大頭足類としてオクトパス・ギガンテウス(ルスカ)の名が書き加えられても不思議ではないように思う。
その際、オクトパス・ギガンテウスの全長が25〜60mである必要はない。
アバウトに20m級(17〜18m以上)であれば、「クラーケンの正体だった・・・」と、振り返られる事になるのかもしれない。
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