「ニホンオオカミ」
約100年前に絶滅したニホンオオカミについて・・・ |
ご存知のように、つい100年ほど前までは日本にも2種類のオオカミがいた。
「ニホンオオカミ(本州、四国、九州に分布)」と「エゾオオカミ(北海道に分布)」であり、どちらも1900年前後に絶滅したとされる。
ニホンオオカミ
学名:「Canis lupus hodophilax カニス・ルプス・ホドピラクス」、あるいは「Canis hodophilax カニス・ホドピラクス」
体長95〜114cm、尾長:30cm
絶滅時期:1905年
エゾオオカミ
学名:「Canis lupus hattai カニス・ルプス・ハッタイ」
体長:120〜129cm、尾長:27〜40cm
絶滅時期:1896年
エゾオオカミがチュウゴクオオカミ(学名:Canis lupus chanco カニス・ルプス・カンコ)に類似するオオカミ類の中型種であった事に対して、ニホンオオカミは小型種であり、最小種のひとつであったと考えられている。
また、エゾオオカミはニホンオオカミよりも吻(ふん)や耳、四肢が長いなどの特徴があるようだ。
| チュウゴクオオカミ(別名チベットオオカミ) 画像: 「イーコラム(大阪市立天王寺動物園で撮影)」 |
絶滅理由
エゾオオカミが絶滅した原因は明白であり、賞金付きの害獣(1876〜1888年)として2000〜3000頭が駆除された事が致命的だったとされる。
駆除された理由は「エゾオオカミが牧場のウマなどを襲うから・・・」という事になるが、その背景には北海道の開拓に伴う環境の変化や、1879年の大雪などによってエサとなるエゾシカが減少した事が上げられる。
一方のニホンオオカミについては諸説あり、江戸〜明治時代の狂犬病の流行によるニホンオオカミへの感染や、エサとなるシカの減少、イエイヌとの交雑による純粋種の壊滅などが上げられているが、何れにしても絶滅に至るほどの原因になるとは思えないミステリアスな部分を残す事から、現代に於いてもニホンオオカミの目撃情報が寄せられるのだとされる。
ニホンオオカミの解釈については諸説あるが、その前に、オオカミ全般について触れてみたい。
オオカミとは?
一般的には、「オオカミとはタイリクオオカミ(別名ハイイロオオカミ)種に属する動物の総称である」とされる。
そのタイリクオオカミの学名は「Canis lupus(カニス・ルプス)」。「Canis」はイヌを意味する属名であり、「lupus」はオオカミを意味する種小名となるので、各亜種を示す学名は「Canis
lupus + 亜種名」で表記される。
例えば、ホッキョクオオカミの学名は「Canis lupus arctos」であり、メキシコオオカミは「Canis lupus baileyi」となる。
ただ、従来ならオオカミではなく、オオカミの近縁種であると考えられていた「イエイヌ」も、近年ではタイリクオオカミの一亜種(学名:Canis lupus
familiaris)として受け入れられる方向にある。
イエイヌとはプードルやチワワなどの飼育犬の事だが、イエイヌの直接の祖先は家畜化されたオオカミだとする学説に基づく。
しかしながら、現実としては「プードルはオオカミの一種(亜種)だ!」というような言葉は使いづらいというか、個人的には幼児を相手に話す事さえ躊躇われる。
多くの人にイメージされるオオカミとは、「イエイヌを除く、タイリクオオカミ種に属する動物の総称」になるのだと思う。
ニホンオオカミとは?
上記のように、ニホンオオカミの解釈については諸説あるものの、「ニホンオオカミはタイリクオオカミの亜種である」とされ、学名「Canis lupus
hodophilax(カニス・ルプス・ホドピラクス)」として表記されるのが一般的だ。
この場合、ニホンオオカミがオオカミ類の最小種のひとつであった事については、海面の上昇によって本州以南に隔離される形になった事への適応としての矮小化(わいしょうか)、あるいは環境破壊などによって狭められた生息地への適応としての矮小化などが上げられている。
その一方では、「ニホンオオカミはタイリクオオカミの亜種ではなく、独立種だ」とする学説もあり、この場合は「Canis hodophilax カニス・ホドピラクス」と表記される。
つまり、ニホンオオカミは矮小化したのではなく、もともとから小型種であったという事になる。
| * 矮小化については、当サイト「矮小動物」で書いています。 |
ニホンオオカミは1905年(明治38年)1月に奈良県の鷲家口(わしかぐち)という場所で捕獲後、剥製標本にされた1頭を最後に絶滅したとされる。
この個体については「ワシカグチオオカミ」とも呼ばれ、その場所(現・奈良県吉野郡東吉野村小川)には等身大のブロンズ像(左の画像)が建てられている。
| ニホンオオカミのブロンズ像 画像: 「イーコラム(奈良県吉野郡東吉野村小川で撮影)」 |
あるいは、1910年(明治43年)8月に福井城(福井県)で捕殺された1頭が最後のニホンオオカミであるともされる。
この個体の剥製は戦時中に焼失しているが、残された写真や新たな資料などを元に再検証した結果、ニホンオオカミだと断定する論文を2003年に発表している。
これに伴い「ニホンオオカミの絶滅時期が1905年から1910年に変更される」との情報があるが、その一方では「剥製という物的証拠を残す奈良県の場合と、剥製を焼失している福井県の場合とでは信頼度に差があるという事から、変更には至らないのではないか?」とする情報もある。
将来的な事はわからないが、現時点での環境省関係のウエブサイトを見る限りでは変更されていないようだ。
つまり、現時点での最後のニホンオオカミは1905年の奈良県(ワシカグチオオカミ)となるのだろう。
上記のように、1905年に絶滅したとされるニホンオオカミだが、「剥製標本という物的証拠を残す中での最後のニホンオオカミ」というような解釈もできる。
実際のところ、「大正時代から昭和初期頃までは、東北地方や中部地方の深山に生息していたのではないか?」、「近年まで生息していた可能性も否定できない」とする専門家もいる。
大正時代(1912〜1926年)という事については、明治時代末期である1905年との年代的な差も少なく、その時代にニホンオオカミが生息していたと推測する事は自然なようにも思える。
また、大正時代の一部地域では勇猛な猟犬としての「狼犬」を生ませる為に、発情期の雌犬を木につないで、ニホンオオカミとの交配を行っていたとする情報もある。
次に、「近年まで生息していた可能性・・・」という事については「近年」という言葉が微妙だが、昭和30〜40年代頃まではニホンオオカミの目撃情報が寄せられていたとする情報がある。
昭和30〜40年代という時代を象徴する言葉としては、「高度経済成長期」、「環境破壊」、「公害問題」、「オイルショック」などが上げられるが、実際に日本の自然環境を激変させた時代が昭和30〜40年代であり、環境省ホームページの中にも次のような一文がある。
| 自然林及び二次林は、昭和30年代、40年代に量的に多くの面積が減少してきましたが、近年は、量的な減少の程度は鈍くなってきています。一方、ひとつひとつの森林のまとまりの面積は減少しており・・・ |
つまり、昭和30〜40年代頃まではニホンオオカミが生息可能な森林が残されていたので、目撃情報が寄せられていたという解釈もできる。
逆にいえば、森林の減少化と分断化が進んだ以降〜現代に於いては、(皆無ではないだろうが)ニホンオオカミが暮らせる森林は無くなったという事になるのだろうか?
では、現代に於いても寄せられる「ニホンオオカミの目撃情報」の正体とは何なのか?
当然ながら、このページは「UMAコンテンツ」のひとつであり、ニホンオオカミの生き残り説を1番手として上げますが、実際には皆さんのご想像通り、「野犬(すてられた飼育犬)の誤認説」が1番手となるようです。
例えば、ページ上部の「チュウゴクオオカミ」の画像を見ても、管理人のレベルでは一部の飼育犬との区別がつかないし、山中で目撃する野犬であれば尚更となるのだろう。
特に、狂犬病に感染している場合には「オオカミのような遠吠えをする」という事が知られており、誤認される可能性は高いと思われる。
日本での狂犬病の犬は1956年(昭和31年)の6頭を最後に途絶えているが、年代的には「昭和30〜40年代頃まではニホンオオカミの目撃情報が寄せられていた」という事ともほぼ一致する。
また、現状では国内での狂犬病は撲滅されているが、安心が慢心に変わりつつあるともいわれ、「法的義務である犬への予防接種を受けない飼い主さんが増えている」と指摘されている。
「現代のニホンオオカミの正体は狂犬病の野犬だった・・・」という類のニュースは見たくもないし、聞きたくもないですね!
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