「アリゲーターガー」
別名ワニ魚とも呼ばれるアリゲーターガーの危険性とは? |
分類:ガー目ガー科アトラクトステウス属
全長:2〜3m
分布:北米ミシシッピ川流域
| アリゲーターガー 画像:「イーコラム(神戸市立須磨海浜水族園で撮影)」 |
アリゲーターガーは北米最大の淡水魚であると同時に、世界最大級の淡水魚のひとつでもある事から「最大個体では全長3m以上、体重100kg以上にも達する巨大魚」として紹介される事が多い。
事実、全長では3.05m(1910年、米国ミシシッピ州ムーン湖)、体重では126.55kg(1951年、米国テキサス州リオ・グランデ川)の記録が知られているが、情報レベルでの最大全長は約3.5mであり、最大体重は約158kgであるとも伝えられる。
アリゲーターガーは肉食魚であり、主として魚類やエビなどの甲殻類を捕食し、水鳥や小型哺乳類なども捕食する事もある。
「肉食の巨大魚!」という事から「人を襲う?」というイメージにも発展しがちだが、積極的に人を襲う事はないとされている。しかしながら、アリゲーターガーにとっての生理的至近距離に入ってしまった場合には、威嚇行動として人を攻撃する可能性は否定できないように思う。
その北米の巨大魚、アリゲーターガーが日本の河川や湖沼などから目撃あるいは捕獲されたというニュースが相次いで報道されており、一部地域に於いては繁殖の可能性さえも問われている・・・。
平成14年、7月10日。兵庫県尼崎市
市内を流れる藻川で体長86cm、体重12kgのアリゲーターガーが釣られている。
アメリカザリガニをエサにして釣り上げたそうだが、「(それとは別に)もう一匹いた・・・」とも話している。
平成15年、9月19日。大阪府富田林市
市内のため池で体長約110cmのアリゲーターガーが捕獲されている。
平成16年、4月11日。熊本県八代市
市内を流れる水無瀬川で体長約100cmのアリゲーターガーが釣られている。
釣り上げた男性は「同一種だと思われる他の数匹と泳いでいた・・・」と話している。
尚、八代市内では同年1月にも新川という川でアリゲーターガーが捕獲されている。
平成17年、10月19日。大阪府和泉市
市内を流れる槙尾川で体長約45cmのアリゲーターガーが中学生3人によって発見、捕獲されている。
そのうちの1人の生徒によると、「最初はワニかと思った・・・」と話している。
尚、和泉市内のため池では平成15年9月24日に、体長約125cmのアリゲーターガーも捕獲されている。
平成18年、4月13日。滋賀県近江八幡市
琵琶湖につながる西の湖で全長77cm、体重2.8kgのアリゲーターガーが捕獲されている。
平成18年、10月2日。山口県岩国市
市内にある吉香公園内の池で全長110cm、体重9kgのアリゲーターガーが捕獲されている。
尚、この個体の事だと思われる生息の噂は数年前から寄せられていたそうだ。
英名の「Alligator gar」をアバウトに翻訳すれば、「ワニのような魚(ガーパイク類)」となる。
確かに、アリゲーターガーの長い吻部(ふんぶ)や鋭い歯、硬鱗(こうりん)と呼ばれる硬いウロコなどはワニを思わせる姿であり、実際に見間違われる事も少なくない。
| アリゲーターガー 画像:「イーコラム(神戸市立須磨海浜水族園で撮影)」 |
上の画像を見る限りでは、「そういえば、ワニに似ているのかな?」という話で終わってしまう可能性もあるが、実際の河川や湖沼などでは水が濁っている上に、水面上に現れる事のある部分は頭部と背中の一部だけという事になる。
目撃者が「ワニ?」と思う事は通常の範囲になるのだろうし、アングラーやアクアリストでもない人達であれば尚更だと思われる。
そして、(推測も含めて)発見された地域には不安を与える・・・。
例えば、平成18年6月13日、北九州市若松区響灘緑地(ひびきなだりょくち)。
緑地内にある頓田(とんだ)貯水池でアリゲーターガーとみられる魚が目撃された事から、ボートの貸し出しを一時期禁止している。
上記については、アリゲーターガーへの危機感を示す一例ではないかと思う。
積極的に人を襲う事はないとされるアリゲーターガーだが、興味の対象や威嚇行動としての咬傷事件は起こりえるだろう。仮に、ボートの上から水面に手を入れた人が咬まれたとしたら、軽傷で済むとは思えない。
また、アリゲーターガーの目撃情報は各地の河川や湖沼などから報告されており、その中には子供達が遊ぶような場所も含まれているが、成魚は子供達よりも遥かに巨大であり、生命をも脅かす存在にすらなりかねないと書いても決して過言ではないように思える。
加えて、アリゲーターガーは北米原産である事から日本の自然下での越冬、繁殖の可能性を否定できない状況にある。
つまり、帰化動物として日本に定着する可能性さえもあるという事になるが、これは「ビクトリア湖の悲劇」と重ねながら見てみたい。
ミシシッピ川流域には、文字通り「ミシシッピワニ(アメリカアリゲーター)」が分布しており、アリゲーターガーを捕食する。
つまり、原産国でのアリゲーターガーにとっての天敵はミシシッピワニだという事になるが、日本ではどうだろうか?
日本の河川などで淡水魚を捕食対象とする両爬類としてはオオサンショウウオやスッポンなどがいるが、ここに対アリゲーターガーとの推測を書くまでもなく、「日本にはアリゲーターガーの天敵はいない・・・」という事になるのだろう。
生態系の崩壊の例えとしては、アフリカのビクトリア湖に移入された外来魚ナイルパーチ(最大個体では全長2m以上、体重200kg以上)が固有種や在来種を壊滅状態に追い込んだ事が上げられるが、この話は俗に「ビクトリア湖の悲劇」と呼ばれている。
同様に、日本の自然下でのアリゲーターガーの存在は「水無瀬川の悲劇」や「琵琶湖の悲劇」、場合によっては「日本の悲劇」と呼ばれるようになる可能性さえあるのかもしれない。
日本の悲劇・・・と書くと、さすがに大袈裟なように思えるかもしれないが、前述のビクトリア湖がウガンダ、ケニア、タンザニアの3カ国に跨り、その総面積(約6万8千平方キロ)が「九州(約4万8千平方キロ)+四国(約1万9千平方キロ)」と同等以上である事を思えば、一概に絵空事とは決めつけられないのではないだろうか?
ちなみに、琵琶湖(約670平方キロ)の100倍以上でもある。
「最大個体では全長3m以上、体重100kg以上」ともいわれるアリゲーターガーですが、これは原産国の自然下に於ける記録です。
完全否定はできないものの、日本の飼育下で全長3mにも達するほど成長するとは思えません。
しかしながら、実際の飼育者さんのサイトを拝見すると「飼育下であっても1.5〜2mにまで成長する事は想定するべき魚種である」と解説されており、多くの経験と情報から導き出された信頼するべき数字だと思います。
「1.5〜2mにまで成長するアリゲーターガーを飼育するには、どれ位の水槽が必要なのか?」という事については、当サイトが書くべき事ではないとは思いますが、「一生がカプセルホテル状態・・・」というような水槽であれば、飼育ではなく、陳列に近いような気もします。
巨大魚であり、古代魚であるアリゲーターガーに魅せられてしまった人は少なくないと想像しますが、適正な飼育環境で生涯飼育できるアクアリストだけが挑める頂きのようにも思います。
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